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舌下免疫療法

どのような治療?

舌下免疫療法(SLIT)は、アレルギー反応を引き起こす物質に対する免疫系の反応を緩和する治療法の一つです。この治療法では、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を、舌の下に置くことで徐々に体内に導入し、免疫系の過剰な反応を抑制します。この結果、アレルギー症状の軽減や、アレルギーによる日常生活への影響の軽減が期待されます。

舌下免疫療法は、注射や薬物治療と比較して安全であり、自宅でも簡単に行うことができる点が特徴です。

期待する効果

長期にわたり、正しく治療が行われると、アレルギー症状を改善し、長期にわたり症状をおさえる効果が期待できます。症状が完全におさえられない場合でも、症状を和らげ、アレルギー治療薬の減量が期待できます。

気管支喘息への効果

・軽度~中等度喘息に対して、自覚症状の改善ならびに喘息治療薬減量を期待できます。

・小規模な研究では、強い遺伝的素因のある乳児にダニアレルゲンの舌下免疫療法を1年間施行したところ、6歳時点の喘息発症率が有意に低下したとの報告もみられます(J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 45-56)

 

喘息予防・管理ガイドライン2021では、「ダニアレルギーで特にアレルギー性鼻炎合併例で、安定期% FEV1≧70の場合にはアレルゲン免疫療法を考慮する」と追記されました。

治療適応になる方

適応年齢は成人及び5歳以上の小児が対象です。

・スギ花粉またはダニが原因となるアレルギー性鼻炎患者

・一般的な薬物療法でアレルギー性鼻 炎の症状やQOL(生活の質)を十分にコントロールできない方

・抗アレルギー薬を服用すると眠気などの副反応が強く、勉強や仕事に差し支えがある方

舌下免疫療法を受けられない方

・対象のアレルギー(スギ花粉症、ダニ)ではない方

・重症の気管支喘息の方

・悪性腫瘍(がん)や免疫系の病気がある方

舌下免疫療法を行う際に注意が必要な方

・65歳以上の方

・妊婦の方、授乳中の方

(ただし、この治療を継続して行っているうちに妊娠がわかった場合には、そのまま治療

を続けることが可能です)

・抜歯後や口の中の術後、または口の中に傷や炎症などがある方

・重症の心疾患、肺疾患及び高血圧症がある方

・降圧薬(非選択的β遮断薬)を服用中の方

・全身性ステロイド薬の投与を受けている方

使用する薬剤

・スギ花粉症 薬品名「シダキュア」(鳥居薬品)

・ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎 薬品名「ミティキュア」(鳥居薬品)

・ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎 「アシテア」(塩野義製薬)

スケジュール

スギ花粉症の舌下免疫療法

スギ花粉が飛んでいる時期には治療を開始できません。そのため、6月から12月上旬までの間に治療を開始する必要があります。

ダニアレルギーの舌下免疫療法

季節を問わず開始することができます。

スギ、ダニ両方の治療を、時期をずらしてスタートさせることで並行して行うことも可能です。

 

① 初回診療ではアレルギー検査・説明を行います。

(以前のアレルギー検査の結果があれば、それで代替します)

② 舌下免疫療法の適応がある場合、処方を行います。

一旦会計、処方箋を発行します。調剤薬局で処方を受け当院にお戻り頂きます。初回投与を院内で行い、その後30分は待機して頂きます。

③ 薬は、1日1回、舌の下に1~2分間保持した後、飲み込みます。その後5分間はうがい、飲食をひかえてください。

④ 1週間後に外来受診、診察にて副作用の有無を確認します。問題がないようでしたら薬を増量いたします。

シダキュアの場合

鳥居薬品ホームページから引用

ミティキュアの場合

鳥居薬品ホームページから引用

アシテアの場合

塩野義製薬ホームページから引用

維持量までは週に1回、維持量に達したら月に1回の通院をしていただきます。

治療期間は3~5年と長期間かかるため、継続的に定期的な受診が必要となります。

 

副作用

 主な副作用

口の中の腫れ・かゆみ・不快感・違和感

唇の腫れ

咽喉の刺激感・不快感・違和感

耳のかゆみ 等

 重大な副作用(いずれも頻度不明)

ショック

アナフィラキシー

舌下免疫療法に伴う重篤な副反応は極めてまれであり、従来の注射による方法よりもかなり安全です。重篤なアナフィラキシーショックは10万回に1回とされています。

 

舌下免疫療法の注意点

優れている点

現在の報告では、約20%以上の方が治癒し、50~60%の方が症状の軽減が認められました。(一方、残念ながら15~20%の方には効果が認められませんでした。)

・免疫をつくる治療法ですので、根治が期待できます。

注意すべき点

・治療には3年~5年、毎日治療薬を飲み続けなくてはなりません。

・臨床試験の結果では、およそ20%の方には効果がありませんでした。

・気管支喘息とアレルギー性鼻炎の両方を持っている方に舌下免疫療法を行うと、気管支喘息の症状を一時的に悪化させる可能性があるため、しっかりと気管支喘息の症状がコントロールされていないと開始できません。舌下免疫療法中に気管支喘息の悪化があれば、一時的に舌下免疫療法を中断することもあります。

・副作用を防ぐため、服用前後2時間は、激しい運動、入浴、アルコール摂取など血圧の変動がおこるような行動を控える必要があります。

 

費用について

舌下免疫の治療のみの処方の場合には、医院での治療費と薬局での薬代と合わせて

1ヵ月あたりスギ花粉の舌下免疫薬は3割負担で2,000~2,500円程度の負担

ダニの舌下免疫療法薬は3割負担で3,500円程度の負担になります。

なお、治療開始前の検査が必要となり、5,000円程度の検査費負担がかかります。

(他院で行ったアレルギー検査結果があれば再検査は不要です)

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