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間質性肺炎の急性増悪について

どのような病気か

慢性経過を示す間質性肺炎が、急激に悪化する病態、これが急性増悪です。特発性肺線維症の患者さんの死亡原因の約40%を占めるといわれている、重篤な病態です。病状の進行に伴って急性増悪の発症頻度も高くなることから、できるだけ進行させないことが急性増悪のリスク低下につながると考えられています。また、急性増悪は風邪やインフルエンザ、侵襲的な手術・薬剤が契機になることがありますので、手洗い、マスク着用、予防接種などを行って、風邪やインフルエンザにかからないように気を付ける必要があります。

どのように診断を行うか

間質性肺炎の患者さんが、急激に呼吸状態の悪化を示したとき、肺感染症、心不全、気胸、薬剤性肺障害、肺血栓塞栓症といった多くの病態を除外することが必要です。これらの疾患を除外し、下記が満たされれば、「急性増悪」の診断に至ります。
2016年に提唱された診断基準では、

定義:新たな広範な肺胞陰影を特徴とする急激な呼吸状態の悪化

  1. 過去あるいは増悪時に肺線維症の診断を受けている
  2. 1か月以内の急性の悪化・呼吸困難の進行を認める
  3. 胸部CTで背景の蜂巣肺+両側すりガラス影/浸潤影
  4. 心不全や過剰輸液では説明できない悪化である

を満たすこととされています。
Collard HR, et al. Am J Respir Crit Care Med 2016;194:265–75.

下記に胸部CTをお示しします

慢性期

両側の背中側に間質性陰影がみられます。

急性増悪時

特に右側の背中側に蜂の巣のような陰影=蜂巣肺がみられ、その周囲に灰色のすりガラス陰影がみられます。

治療終了後

すりガラス陰影は消失したものの、広範な構造破壊が残っています。

どのように治療を行うか

諸検査の後、細菌性肺炎や肺血栓塞栓症など除外すべき疾患であった場合は、それぞれ適切な治療を行うことになりますが、急性増悪の治療としては、明らかに有効といえる治療法は確立していません。ただし、ステロイド療法(メチルプレドニゾロン 500~1000mg/日によるパルス療法、それに続くプレドニンの後療法)が実施されることが大部分です。その上でシクロフォスファミドパルス療法(エンドキサンパルス)やシクロスポリンなどの免疫抑制療法の併用も行うこともあります。近年は、ポリミキシンB固定化線維カラムを用いた直接血液灌流法(direct hemoperfusion using a polymyxin B immobilized fiber column:PMX-DHP)による治療が試みられています。私も携わりましたが、「ポリミキシンカラムによる特発性肺線維症の急性増悪改善療法」保険要望案件(公知申請)継続審議中です。

当クリニックでどのように外来通院して頂くか

間質性肺炎の急性増悪時には、酸素吸入・集中管理を含めた入院が必要であり、対応可能な病院をご紹介いたします。

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