脂質異常症
どのような病気か
脂質異常症は、血液中の脂質(コレステロールやトリグリセリド)が異常に増加した状態を指します。通常、体内の脂質はバランスよく調節されていますが、脂質異常症ではこのバランスが崩れ、血管内に脂質が異常に蓄積することがあります。
脂質異常症の定義
e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-004.html から引用
脂質異常症の原因
脂質異常症の原因は主に3種類が考えられています。
1.遺伝的要因
家族歴
脂質異常症は、家族歴によって影響を受けることがあります。親や兄弟姉妹に高コレステロールや高トリグリセリドなどの脂質異常がある場合、自身もリスクが高まる可能性があります。
2.生活習慣
不健康な食事
高脂肪・高カロリーの食事や加工食品の摂取、過剰な飲酒が脂質異常症の原因となることがあります。
運動不足
運動不足や身体活動の不足は、脂質代謝の乱れを引き起こし、脂質異常症のリスクを高めます。
喫煙
喫煙は、脂質代謝を悪化させ、動脈硬化の進行を促進する可能性があります。
3.疾患や薬物
糖尿病
糖尿病や肥満などの疾患は、脂質代謝に影響を与え、脂質異常症を引き起こすことがあります。
薬物
一部の薬物やホルモン剤の使用も、脂質代謝の変化を引き起こし、脂質異常症を引き起こす可能性があります。
これらの要因によって、脂質異常症が引き起こされることがあります。適切な治療と管理により、脂質異常症のリスクを軽減することが可能です。
脂質異常症の症状
脂質異常症には、特に初期段階では明確な症状が現れることは少ないですが、以下のような徴候や合併症が発生する可能性があります。
疲労感
長期間にわたって高脂血症が続くと、体のエネルギー代謝に影響を及ぼすことがあり、疲労感を感じることがあります。
軽度の胸部不快感
心臓や血管に影響を及ぼす可能性があり、胸部の不快感を感じることがあります。
脂質異常症の合併症
脂質異常症が放置されると、以下のような合併症が発生するリスクが増加します。
1.動脈硬化
動脈壁に脂質が蓄積:高コレステロールや高トリグリセリドによって、動脈壁に脂質が蓄積し、血管が硬くなります。冠動脈疾患: 動脈硬化によって、心臓に十分な酸素や栄養が供給されなくなり、冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)が発生するリスクが高まります。
2.脳血管障害
脳卒中
動脈硬化によって、脳血管が閉塞または破裂することで、脳卒中の発症リスクが増加します。
認知症
脳血流が低下することで、認知症のリスクが増加する可能性があります。
3.その他の合併症
動脈瘤
血管の壁が膨らむことで、動脈瘤が発生するリスクが高まります。
膵炎
脂質異常症が高トリグリセリド血症と関連して、膵炎が発生する可能性があります。
脂質異常症の治療
1.ライフスタイルの改善
食事療法
高脂肪や加工食品、トランス脂肪酸を控え、食物繊維や健康な脂質(オメガ3脂肪酸など)を摂取するように心がけます。
運動
適度な運動を行い、体重の管理や心臓血管系の健康を維持します。
禁煙
喫煙を控えることで、動脈硬化や心臓病のリスクを軽減します。
2.薬物療法
スタチン薬
LDLコレステロールを下げる効果があり、動脈硬化の進行を抑制します。
フィブラート薬
トリグリセリドを下げる効果があり、心臓病や膵炎のリスクを軽減します。
その他の薬物
必要に応じて、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬、オメガ3-脂肪酸製剤などを処方します。
3.定期的なモニタリング
血液検査
定期的な血液検査を通じて、脂質値のモニタリングを行い、治療の効果やリスクを評価します。
医師のフォローアップ
定期的な診察やフォローアップを受け、治療計画の調整や健康状態の管理を行います。
いずれも『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022』より引用
当院でどのように外来通院して頂くか
・併存症や喫煙などを基に、血圧・体重減量・禁煙など管理目標を設定します。
・管理栄養士による食事内容の確認、栄養指導を行います。
・定期的に行う検査
血液検査・尿検査
併存症の有無、お薬の副作用を確認する目的で6カ月毎に行います。健康診断・人間ドックの結果で代わりも可能ですので適宜ご持参頂きます。
心電図・胸部X線
1年に1度定期検査として行うことをお勧めします。胸部エックス線検査は、喫煙者には年2回実施することもあります。
頸動脈の超音波
動脈硬化性病変が進行していないか、1~2年に一度定期検査を行います。
・安定すれば数カ月間隔での通院に移行します。