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間質性肺炎

どのような病気か

間質性肺炎は、肺が線維化・固くなる疾患です。全体が固くなりコンプライアンスが低下するため、肺の容積が減少し、息を吸ってもふくらみにくくなります。その結果、咳や動いた時の息切れといった症状を来たします。
間質性肺炎の原因は、膠原病や薬剤、吸入(慢性過敏性肺臓炎、塵肺、石綿肺)などが挙げられますが、原因が特定できない間質性肺炎を特発性間質性肺炎といいます。
特発性間質性肺炎の50%以上を「特発性肺線維症」が占めます。50歳以上の男性で、喫煙者に多いとされます。発症の原因はわかっていませんが、加齢や感染症、生活環境などが影響していると言われています。この特発性肺線維症は、徐々に肺の線維化が進行する、予後不良な難病です。その進行のスピードは、患者さん各々により異なります。ゆっくりと進行する方もいれば、比較的急速に進行する方もいます。時に急激な呼吸状態の悪化である「急性増悪」も来すため、臨床で対処に難しい病気です。

どのように診断を行うか

聴診で特徴的な音を聴取した場合や、胸部レントゲン写真で両側に間質性の陰影を認めた場合、胸部CTで陰影の性状を評価します。また、病勢の把握が重要です。以前の画像と比較して悪化していないか、確認します。その上で、二次性の要因がないか、問診・身体診察を行います。具体的には、服薬歴、吸入の機会を含めた職業歴、居住空間やペットの飼育歴、喫煙歴、膠原病を示唆する身体所見がないか、特に女性の場合や若くして発症した場合は、膠原病の可能性を常に考慮します。

必要な検査

胸部レントゲン
胸部CT
血液検査

肺上皮細胞から分泌される糖タンパク抗原(KL-6)やサーファクタント蛋白(SP-D)などの上昇を認めます。

肺機能検査

肺活量の減少を認めます。

どのように治療を行うか

慢性期の間質性肺炎

  1. (原因があれば)原因の除去・禁煙
  2. 抗炎症治療(ステロイド・免疫抑制剤)
  3. 抗線維化治療
  4. 症状緩和・在宅酸素療法導入

症状が落ち着いている慢性期の間質性肺炎は、上記項目を検討します。(比較的急速に病状が進行している場合は、別項「急性増悪」に準じた迅速な対応が必要です)

まずは、喫煙者であれば禁煙、そして二次的な要因を検索・除去することが重要です。

  • 薬剤性間質性肺炎→原因薬剤の同定・中止。
  • 慢性過敏性肺臓炎→ペットや羽毛布団、加湿器など居住空間の確認・除去
  • 膠原病関連間質性肺炎→リウマチ膠原病内科専門医師と協力し治療を考慮

その上で、ステロイドや免疫抑制剤(タクロリムスやシクロホスファミドなど)の適応を考えます。ただし、これらの薬剤は長期の服用が必要であり、骨粗鬆症や糖尿病、胃潰瘍、ニューモシスチス肺炎など多くの副作用のリスクが高まります。これらの薬剤の適応があるか、ないしは効果が期待できるか画像や血液検査、気管支鏡検査、肺病理などを多角的に検討し、メリット・デメリットを天秤にかけて投与を検討する必要があります。特に症状が安定している場合、高齢の場合、広範に蜂巣肺を呈する場合などは、ステロイドを安易に使用すべきではないとされています。特に、特発性肺線維症を始めとした慢性線維化間質性肺炎に関しては、残念ながらステロイド・免疫抑制剤の効果が期待できません。
本邦では、肺の線維化を抑制する薬剤=抗線維化薬として2008年にピルフェニドン (商品名ピレスパ®)、そして2015年にニンテダニブ (商品名オフェブ®)が承認され使用可能となっています。
ピレスパは、初期用量は1回200mgを1日3回(600mg/日)食後に内服とし、2週間を目安に200mgずつ漸増、1日9錠(1800mg/日)まで増量を目指します。副作用として、悪心、食欲不振、日光過敏症、吐気、腹部違和感などが挙げられます。光線過敏症に対しては、長袖・長ズボン、日焼け止め(SPA値50+)で対応が必要です。
オフェブは、1回150mgを1日2回朝・夕食後に内服します。(副作用によっては1回100mgを1日2回内服にすることもあります。)頻度の高い副作用は、下痢などの消化器症状・食欲不振と肝機能障害です。

当クリニックでどのように外来通院するか

ご本人の身体症状や年齢などの要素を踏まえて、どのように治療を行っていくか、話し合いながら決めていきます。症状に応じて、咳止めといった内服処方や在宅酸素療法の導入を検討します。
なお、特発性肺線維症や肺気腫を合併した間質性肺炎の場合、肺癌の発生率が高率であり、定期的なレントゲン検査やCTが必要です。
下記は、肺気腫を背景に出現し、経時的に増大した結節影です。
(組織診断で肺癌の診断となっています)

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